掌にのせた香炉から立ち上る、かすかな香気。
その目に見えないものに心を澄ませる時間の中に
日本人が長く大切にしてきた静けさ、礼、品格
そして、自然への畏敬が息づいている。
写真は香りを写すことはできないが
香りを待つ手、灰を整える沈黙、香炉を包む掌、
座敷に満ちる緊張と静けさは写すことはできる。
見えないものに心を向ける文化を、見えるかたちで伝えること。
それが、本展の試みです。
香席の所作、香道具の美、献香の場、
そして二十一世一枝軒宗苾家元へと受け継がれる
志野流の現在を紹介します。
どうぞ、写真を通して、志野流香道の深い時間をお聞きください。
小笠原敏孝